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ぶれいもの音楽隊(雀の間)

京都に行ってきたこと 2017 ふつかめ

 やや暖かめの朝です。

 ホテルのロビーに集合が10時という遅い時間でした。ホテルの近くのイノダコヒに行ってみました。以前、本店に行ったのですが、だいぶ雰囲気が違って、別の店ではないのかと思いました。本当は森見さんの小説に出てきたスマート珈琲にも行ってみたかったのですが少し距離もあるのでそちらはやめました。
 そのまま近くの六角堂に歩いて行ってみました。久しぶりの頂法寺六角堂さんでしたが、表門から見える建物はどっしりとしてとても立派で格好良い。地元に密着したお寺さんとみえて、いろんな人がかわるがわるお参りしていました。
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 なにくわぬ顔でホテルに戻りみなさんと合流し、タクシーに乗って知恩院さんに向かいました。あの大きな大きな三門の前まで乗るつもりでいたのですが、境内まで乗り付けてくれました。御影堂は修理のためまんべんなく覆いがかぶせられていて全然見ることができませんでした。10年前に来たときも、どこかを改修していました。国宝建造物などは場合によってはものすごく長い年月をかけて修繕を行うので、下手をするともう見ることができないのではないかなんて思うこともあります。ここは確か平成31年まで改修しているという話だったと思うので、終わったらまた見に来たいと思います。
 御影堂のむこうを上に上がっていくと、大きな大きな鐘楼がありました。とてつもなく大きな梵鐘があります。3大大鐘とかだそうですが、他の二つはどこにあるのでしょう。調べたら方広寺と東大寺だそうですが、少なくとも方広寺のものよりはかなり厚手なように感じました。あんなに厚手ではたしてちゃんと鳴るのか、一度その音を聞いてみたいものです。そのあとは山の方に登って勢至堂や御廟を見ました。勢至堂のところの山肌は不思議な岩肌で、ただの岩ではないように思われた。
 そのあとは方丈を17年ぶりの公開ということで、見てきました。あまり公開していないせいかかなりきれいに残っていた。ところどころ説明の人がついて説明してくれました。最後にあの大きな大きな三門を見ましたが、境内を見るのに随分じっくり時間をかけてしまったことに焦っていて、三門はなんとなく通ってしまいました。

 そのあとはまた三門の大きな南禅寺さんへ。石川の五右衛門が絶景かなと言ったというようなエピソードは誰も気にもしませんでした。
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 おなじみ水路閣。実用のものにもかかわらず、側面にちょっとシャレオツな模様をつけてしまうあたりが芸が細かいと言わねばなるまい。
 こちらも方丈を見ました。庭園は虎の子渡しとかいうことだけれどわりとスルー。左甚五郎作という彫り物があるのは指摘してちゃんと見てもらいました。南禅寺は9月にも来ているのでごく最近に来た感がすごい。そういえば、疎水はなんだか浚渫の必要があるとかで、一部水が止まっていたようです。

 そのあとは南禅寺の門前の湯豆腐のお店で昼食。ゆばのご膳をいただきました。最後にきなこの入った小さなカステイラをふた粒もらったのですが、これがふわふわでおいしい。荷物になるのであとでどこかで買って帰ろうと思いましたが売っていなくて後悔しました。誰か行く人があったら買ってきてほしい。

 定番の清水寺へ。
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 ものすごい人で進むのに一苦労でした。一緒に行った人たちもちょっと人の多さに閉口していました。御朱印をいただいて、お線香を買いました。売店の人が、ちょっぴりしか入っていないけれども良い匂いですよ、と言っていました。ちょっぴりしか入っていないのか。
 外国の人がたくさんで、本堂に土足で入ったりバシバシ写真を撮ったりしていて、お寺のおごそかさが無いな一緒に行った人は言っていました。静かな時に来ると良いお寺だと思うのですが、こんなに観光地化されてしまったら確かに風情も何もあったものではないなあと思いました。今回は季節的なものもあったのか他のところは比較的すいていたので余計にそんな気持ちがしました。
 三寧坂を下って八坂の塔をみて、ホテルに帰りました。夜は木屋町通りの、鴨川が見えるすっきゃきのお店へ。夏は床を出すお店だそうです。久しぶりにすきやきを食べましたけれども、横で焼いてくれて、そのペースで食べなければならなくて、おいしいけれどあわただしい。それでもあとお酒などを飲んでそこそこ長居しました。さらに毎年伺っている先斗町の路地の奥のお店ですこし食べ飲んで、夜の四条通りをふらふらと歩いて帰りました。

 
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京都に行ってきたこと 2017 いちにちめ

 最近ちょっと音楽をあまりきいていないのです。今日は久々にネヴィル・マリナーの指揮したペールギュントのCDを聞きました。私の中では名盤です。うつくしい。

 先週、職場の後輩数人と京都に行ってきました。だいぶ前に、お酒を飲みながら約束が成り立ち、少しずつお金を集金して積み立てていくことになりましたが、正直酔っぱらってその経緯を全く全然おぼえていません!

 お金がたまって、行くことになりました。妻子持ちがいるのでなかなか都合がつかず、最初は紅葉の時期を予定していましたが遅れ遅れて冬に行くことになってしまいました。数日間うちのあたりでは朝の気温が氷点下10℃というとんでもない寒波が訪れ、京都にも雪が降ったというニュースも流れ、どないなってしまうのやろ、と思っていましたが、出発の日からは気温が上がってきまして一安心です。

 朝、車で後輩の一人がおむかえに来てくれました。私の荷物の少なさに驚いていました。そんなかなあ。順々に車に乗せて、朝のさむい中を出発。コンビニで卵のはさまったパンを買ってはらごしらえです。卵のはさまったパンは大好物です。三列のシートの車ですが、二列目に口数の少ない人が乗って、私は最後列で前の話は聞こえなかったので車の中ではあまり会話はせず、景色を見ながら行きました。新幹線の駅のそばの駐車場に車を預けます。なかなかに便利で、私も機会があったら使ってみたい。順調に早く着きすぎたので、駅のそばのイートインのパン屋さんで牛乳の入ったコーヒーをちびちび舐めていました。寒いのでやたらとおしっこに行きたくなる。

 さっそうと新幹線に乗り、京都のガイドブックなどを眺めていると京都に着きました。いろいろ眺めていて浜名湖のとこのいい景色を見られなかったのが残念。あすこの、海の上を走っているような感じがとてもすきなのです。途中、雪が積もっている田んぼが広がっているあたりがあって、とても美しかった。

 京都駅に着いて、一旦改札を出て、荷物をホテルに送りました。そういうサービスがあるということを、やがてもう10年も京都に通って初めて知った。駅で1個750円で荷物をホテルに届けてくれるのです。重い荷物をいちにち、えっちらおっちらかついで観光地を歩くことを考えるとまあまあお手頃な対価かもしれぬと思いました。機会があったらまた利用してみたい。

 身軽になって、電車に再び乗って、最初は広隆寺に行きました。最初はJRの駅前からタクシーに乗ろうかという予定でしたが、駅前は閑散としていてタクシーなんぞは1台も止まってはいないのでした。仕方がないので歩いたけれど、そんなもん歩かんでどうすんじゃいい若いもんがっ!というくらいの距離でした。

 広隆寺はちょっと前に行っていて、御朱印ももらったげな。はんこを押すだけの御朱印だった。今回は仏像をみて境内をすこしぶらぶらしただけです。ほんとうはこういうのは、お気に入りの特定のほとけさまをみつけて、ゆったりと相対する時間が欲しいのですが、4人連れだったのでちょっと難しかったです。私はここでは泣き弥勒さまになんとも惹かれる。ただ今回は、目が悪くなったのかいつもより暗い気がして表情がよく見えませんでした。
 
 嵐電に乗って嵐山へ。ひるどきを過ぎています。駅のそばの、鯛茶づけのお店で昼食。この値段でこんだけ?という感じもしましたがおいしかった。けっこう並んでいましたが、私たちあたりがもう最後のほうで、店を出る時はもうおしまいの看板が出ていて、お客さんは私たちのあとに一組くらいでした。

 タクシーに乗って嵯峨大覚寺さんへ。ここは行ったことがありません。最初は天龍寺に行く予定でしたが、天龍寺には古い建造物が無いぽかったのでこちらに行くことにしました。
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 ↑写真はクリックすると全貌がみえます。

 屋根から落ちたところとか、ところどころさむいところに雪が残っていました。
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 門跡寺院ということですが、なかなか趣ぶかい良いお寺でした。渡り廊下がたくさんあっていい感じ。しとみ戸の掛け金に、きんきらの蝉の留め金がついていました。奥の方には大きな大沢池という池がありましたが、冬場でさむざむとしていました。

 お寺を出て再度タクシーに乗り、渡月橋に行きました。何か工事をしていると見えて、川べりに土嚢袋が大量に積んであって興をそいでいましたが仕方のないことでありましょう。冬の夕方の渡月橋は山々の葉もおちはてて寒々としていました。どこもさむざむとしている。橋を渡って鉄道に乗り、京都市内に戻りました。途中、松尾大社の駅をとおりました。いちど訪ねてみたい神社ですので、ここがそうなのだな、いずれ来てみたいものだなと思いました。あまり行く方向ではないけど市内からは近そうなので機会があったら行ってみたいです。

 ホテルにチェックインしました。別にどこのホテルでも良かったのですが、一緒に行った人がある程度お高めのホテルが良いとこだわり、その結果決めたホテルです。喫煙室しか空いていなかったとみえて、部屋が若干ヤニ臭かった。多少安いホテルで良いので臭くないところが良かったなあ。いろいろ段取ってもらっているのでもんくは言えません。

 木屋町の南のほうの、おたかい店が並んでいるあたりの、おたかい店で夕食です。食事を運んで来る人がしずしずしているので、男4人の集団ですが、いくぶんしずしずとお話をたのしみつつ、ご飯を食べ、酔っぱらっていくのでした。

 お店を出てからは夜の祇園界隈をしずしずと歩きました。花見小路は暗かったけれど、裏の方に行くとお茶屋さんなどが並んでしっとりした感じです。八坂さんまで行って、今年もまいりましたよ、とおまいりをして(最近いつも酔っぱらって参詣している)、なんとなくノリでみんなでラーメン屋さんに行ってラーメンをすすりましたが、あとで、食べなきゃよかったおなかがくるしいとみんなでいいました。

 夜の四条通りを西に向かってホテルに入りました。夜で人が少ないので早く着いた。

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ヤク・ファン・ステーン指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団定期演奏会 2017/1/14

ヤク・ファン・ステーン指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団定期演奏会 2017/1/14 すみだトリフォニーホール

 今年最初にきいた演奏会です。さむい日でした。早めに都内について、本屋さんなんかをうろうろ。お昼を新宿で食べて、錦糸町をめざしました。駅に着いてもまだ時間がすこしあったので駅前のスタバで珈琲を飲んで眠気ざまし。このあたりのお茶を飲むところはどこもかしこも混みあっている。普段の日はわからないけれど土日は明らかに店が足りない感じです。二階の席がたまたまひとつだけ空いていたのでそこにすわって珈琲を飲んでいたら外を雪がぱらついていた。

 ホールに入るとロビーで室内楽の演奏をしていました。すこし聞いて客席へ。

 指揮者は名前を聞いたことが無い人です。名前からたぶんそうかなと思っていたとおりオランダの人。だけどなぜかプログラムはオールアメリカプロなのです、なぜかはわからない。

 最初の曲はアイヴズの「答えのない質問」 以前はCDを持っていたのですが、しばらく前からのCD大整理の際に、数枚あったアイヴズのCDはみんな売ってしまった。どうも私にはそれほど面白いものという感じがしなくて・・・。この曲は弦楽のゆったりとした響きに突然トランペットの独奏とフルートによる断片が交互に入ってくるという曲。あまりにトランペットとフルートの場面が唐突で、何なんだろう、と思う。そういえばアイヴズってこんな感じだったな。今回は、なんだろう、と思いながら変にハラハラして面白く聴いてしまいました。

 続いてバーンスタインの交響曲第2番「不安の時代」 CDがあるので予習しておけばよかったかなーと、ホールに着いてから思いました。そんなに聞いていないのでどういう曲か覚えていませんでしたが、けっこう飽きずに面白く聞きました。そういえば、ジャズっぽくなるところ、今まで聞いていて気が付かなかったのですがほとんどピアノと打楽器だけくらいで演奏されていた。もっといろんな楽器が入っているのかと思ったんだけど。
 ピアノが大活躍する曲で、江口玲さんによる独奏。演奏のあと、江口さんによるアンコールがありましたが、何という曲かはわかりません。ガーシュインあたりだったのだろうか。

 ここで休憩。それにしてもお客さんの入りがすごく少ないです。ちょっとこれで大丈夫なのか心配になる。

 休憩のあとはコープランドの「市民のためのファンファーレ」 吹奏楽をやっていたころに野外コンサートで演奏したことがあるのですけど、コンサートホールだとけっこうびっくりする音がしますね。ちなみに野外コンサートでは銅鑼を担当しました。思いっきりぶっ叩かないと野外では迫力ある響きにならず、自分の叩く銅鑼の音で回りがなにをやっているか聞こえないくらいのアリサマでした。

 そのまま指揮者が下がらずに続けてバーンスタインのウエストサイドストーリーからのシンフォニックダンス。これは良く知った曲です。割と冒頭のテンポがゆっくりしていて、どうなのかなと思いましたが、なかなか面白い演奏だった。割と決まりよくやっていて、ノリノリ系の演奏で、という向きにはつまらないのかもしれませんが、出るところはきっちり出て、あと、わりとゆったりしたところを柔らかくやっていて面白かったです。マンボのあとの、チャチャのところの歌わせ方なんかは、あまり聞いたことが無い感じで面白かったです。

 最後になんとアンコールで私の好きなストラヴィンスキーの「サーカス・ポルカ」 かなり複雑に書いてある曲なのか、生で聞くとそのたびに響き方が違うような気がします。元は吹奏楽の曲なのです。吹奏楽やってた頃に演奏してみたかったなあ。

 もりだくさん感があって楽しい演奏会でした。帰りは風が強くなってすごくさむかった。あ。高速バスで帰ってきたんだけど、来るたびにバスタ新宿は不便で気がめいるなと思った。あと、近くのパン屋さん、めちゃ高いけどたいしてうまくない。



昨年読んだ本のまとめ

 昨年読んだ本のまとめです。昨年は再度読んだ本も含めて105冊読んだみたいです。読むのがしんどくなってきている割には読んだ方かもしれませんが、ほとんど娯楽のためだけの読書ですよ。ただ、昨年は印象に残るものが数冊ありました。そんなのを一応、読んだ順にかな。

 久坂部羊「無痛」
 ここで挙げるつもりは全くなかった、というのが、昨年読んだのではなくってもっと前に読んだような気がしたから。テレビドラマで見たので原作はどんなもんかなと思って読んでみたのです。著者は現役のお医者さんで、医療サスペンスを書く人なのですが、どの作品でも医療や福祉についての問題がからんでいて、それらについて考えさせられます。ただ、話自体はエンタテイメント性が高くてどきどきさせられます。この話では心神耗弱者の犯罪について扱われています。かなり胸糞悪くなるような描写がありますが(医者で作家という人のは描写がえげつない気がする)読むのをやめられない話でした。

 津村記久子「とにかくうちに帰ります」
 おすすめ本としてみんなに言ってる。この作家さんの作品と出会えたのは昨年の収穫だったかも。いくつかの短いエピソードを含んだ「職場の作法」 と、表題作の「とにかくうちに帰ります」 の2編。「職場の作法」 は、ごくふつうの仕事場での出来事を淡々と描いているんだけど、文章でこんだけ笑かすかなあ、という。職場あるある、なんだろうけど、そういうところに目を付けて話としてくしらえてしまうあたりが本当にすごい。表題作の「とにかくうちに帰ります」 は、大雨の日に橋を渡って家をめざす、というだけの話なんだけれど、人と人とのつながりを淡く描いていて、読み終わってほわっとしたあたたかみを感じる。解説で西加奈子さんが「津村記久子のセンスって、どないなことになっているのだろう。」 と書いているのを見て、まったくです!と思いました。昨年この人の本をつぎつぎ読みました。けっこう辛いところを描いている話が多いのですが、文体のせいかそういうふうにあまり感じない。他には「ミュージック・ブレス・ユー」や「ポトスライムの舟」「婚礼・葬礼・その他」 が好き。婚礼・葬礼・その他 でも、パニック状態の描写で大笑いしました。こういう場面をうまく書けるってすごいな。
 この人の話は、大げさじゃない場面で、ひとと人はつながって、支え合っているんだな、というか、それが本来なんだな、という気持ちにさせられる気がします。

 西村 賢太「形影相弔・歪んだ忌日」
 おととしからハマっている西村賢太さんです。上の津村さんもそうだけれど、芥川賞作家っていうお堅い感じはまったくしない。西村さんの小説は、あの、文庫本の後ろについている解説なんかを読むと、どんだけ暗い気が滅入る話なんだよ、と思うんだけれど、実際読んでみるともっといきいきとした「負のヒーロー」(酒井順子さんの解説)の話で、読んでいて爆笑する、という人の話もわかる気がします。同棲時代のDVのような話が多いんだけど、よくその短い期間の話がいろいろ出てくるものだと思います。そんで、そのあたりの話が一番面白かったりする。経験者には辛いかもしれませんが・・・。

 伊坂幸太郎「ガソリン生活」
 自動車が主人公、という設定で、しかも厚みもそこそこ。それって面白いのかな。伊坂さんとはいえ読むのを躊躇してしまった。でもさすが伊坂さんで、ものすごく面白い。いろんな小説やら映画やらからの小ネタもはさんで、なんとも楽しい話でした。うちの車は何をしゃべっているのかな。

 松沢呉一「闇の女たち―消えゆく日本人街娼の記録―」
 私が若いころはまだこういう人たちがいたかなあ。街娼へのインタビューと街娼についての歴史のようなものを書いた本。この人の本は下品なとこにまっしぐらに立ち向かった「ぐろぐろ」 なんかで知ったのですが、ここでは時間をかけて街娼に話をきいていて、その生き方に興味をひかれました。何人かの街娼が「楽しかった」 と言っていたのがすごく印象的。この少し前に、評判の高い東野圭吾の「白夜行」 を読んで、まわりを振り回して不幸面してる女性にすっごく気分が悪くなったのですが、本当に太陽の下を歩いていない女性の、強さにちょっと圧倒されました。

 貫井徳郎「乱反射」
 物語の中で子供が死ぬ、ということがあらかじめわかっているのです。そこに向かっていろんな人がかかわっていきます。いろんな人のちょっとした身勝手や利己心が人を殺す。その時どう責任を取って行けるのか。作中に出てくる人たちがいかにもそこいらへんにいそうで、さらには自分も無意識のうちにそういうことに関わっていそうで、恐ろしい、と思うとともに、この国の人たちはいつの間にこんなにわがままで身勝手になってしまったのかなあとも思いました。昨年読んだ本の中で強烈な印象を受けた本のひとつ。
 これを読んだ後に、ツイッターで現実に同じようなやりとりがされているのを見て、ちょっとどっきりしました。
 そのあとこの人の本を何冊か読んで、話はすごく面白いのですが、人の命の失われ方なんかにちょっと耐え難い気がしてあまり手が出ません。

 三浦しをん「神去なあなあ夜話」
 「神去なあなあ日常」 の続きのお話。嫌々ながら和歌山県の山中で林業に携わることになった若者のお話の続きです。こちらは短編集で、前作ほど山の神秘や林業にかかわる面白エピソードとかは無いのですが、魅力的な登場人物がたくさん出てきて、ちょっと恋愛もからんだりなんかして、ほっこりするお話です。前作に引き続きおすすめ。

 篠田節子「ブラックボックス」
 篠田さんはエンタテイメントの作家さんですが、硬質な印象で昔からすごく好きな作家さんです。この話は、スーパーナチュラルな要素は一つも出てこないのですが、読んでいて「これはホラーだ」 と思いました。スティーヴン・キングとかを読んでいる時と同じようなてざわり。
 テーマは食品添加物やバイオ作物を扱っているのです。日々の暮らしの中で、そういうものにあまり神経質になっても仕方がない、きりがない、というふうに考えているのですが、本当に体に害がないかどうかは私たちにはわからない。知らされていないことがたくさんきっとあると思います。今もどこかでこの話のようなことが起きていないとも限らない。物語としてはあくまでもエンタテイメントとしてどきどきしながら読めます。これも多くの人におすすめしたい。

 万城目学「とっぴんぱらりの風太郎」
 「真田丸」 と同じ時期の時代設定なので、あわせてとても面白く読みました。万城目さんの話では今まで人が死んだりしたことはなかったように思うけど、この話は主人公が忍者で、戦国時代の話のせいか、たくさんの人が死んでしまいます。滅びの話で、胸が詰まるような思いがしました。ほんの歴史的にはそれほど昔でもない時期に同じ国の人たちでにくみあい殺し合っていた時期があったのですねえ。

 麻宮ゆり子「敬語で旅する四人の男」
 ひょんなことからそもそもあまりつながりのない四人の男の人があちこち旅することになる連作短編集。それぞれ重い事情を抱えているんだけれども、どことなくユーモアを感じる部分もあって、話の印象としてはあまり重い感じにはなりません。人にはそれぞれ個性や自己主張があって、そういうものがある以上は、一緒に旅をすればぶつかり合うこともありますし、意外なところへの道案内となることもあります。誰かと旅をするおもしろみはそこにあるのかもしれません。そしてもしかすると、それは生きているうえでも同じことなのかもなあ、と、ありきたりな例えだけれど、そういう意味でも人生と旅は似ているのかもしれない。
 発達障害(?)の斎木くんの、活躍ぶりもどことなく楽しい。誰かと旅に出たくなります。そういえば、旅先の描写の本当に何気ないところで、ああいい旅ってこういう感じだなあ、と思ってじわじわきたりもしました。すごくいいお話だと思いました。

津村記久子「とにかくうちに帰ります」
貫井徳郎「乱反射」
篠田節子「ブラックボックス」
麻宮ゆり子「敬語で旅する四人の男」

の4冊が特に印象深かったです。今年も面白い本にめぐりあますよう。

※追記
 書き終わってから気が付いたけど西村さんについては昨年も同じこと書いてた!
 あと、今積んでる本は伊坂さんの「首折り男のための協奏曲」 それから今朝がたから、今年の1冊目として森見登美彦さんの「聖なる怠け者の冒険」 を読み始めています。

あけましておめでとうございます

 あけましておめでとうございます。皆様方にとっても、私にとっても良い年となりますようお祈りいたします。
 年々歳をとっていくのはしかたがない。そして新年早々寝過ごしました。

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