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ぶれいもの音楽隊(雀の間)

昨年読んだ本のまとめ

 昨年読んだ本のまとめです。昨年は再度読んだ本も含めて105冊読んだみたいです。読むのがしんどくなってきている割には読んだ方かもしれませんが、ほとんど娯楽のためだけの読書ですよ。ただ、昨年は印象に残るものが数冊ありました。そんなのを一応、読んだ順にかな。

 久坂部羊「無痛」
 ここで挙げるつもりは全くなかった、というのが、昨年読んだのではなくってもっと前に読んだような気がしたから。テレビドラマで見たので原作はどんなもんかなと思って読んでみたのです。著者は現役のお医者さんで、医療サスペンスを書く人なのですが、どの作品でも医療や福祉についての問題がからんでいて、それらについて考えさせられます。ただ、話自体はエンタテイメント性が高くてどきどきさせられます。この話では心神耗弱者の犯罪について扱われています。かなり胸糞悪くなるような描写がありますが(医者で作家という人のは描写がえげつない気がする)読むのをやめられない話でした。

 津村記久子「とにかくうちに帰ります」
 おすすめ本としてみんなに言ってる。この作家さんの作品と出会えたのは昨年の収穫だったかも。いくつかの短いエピソードを含んだ「職場の作法」 と、表題作の「とにかくうちに帰ります」 の2編。「職場の作法」 は、ごくふつうの仕事場での出来事を淡々と描いているんだけど、文章でこんだけ笑かすかなあ、という。職場あるある、なんだろうけど、そういうところに目を付けて話としてくしらえてしまうあたりが本当にすごい。表題作の「とにかくうちに帰ります」 は、大雨の日に橋を渡って家をめざす、というだけの話なんだけれど、人と人とのつながりを淡く描いていて、読み終わってほわっとしたあたたかみを感じる。解説で西加奈子さんが「津村記久子のセンスって、どないなことになっているのだろう。」 と書いているのを見て、まったくです!と思いました。昨年この人の本をつぎつぎ読みました。けっこう辛いところを描いている話が多いのですが、文体のせいかそういうふうにあまり感じない。他には「ミュージック・ブレス・ユー」や「ポトスライムの舟」「婚礼・葬礼・その他」 が好き。婚礼・葬礼・その他 でも、パニック状態の描写で大笑いしました。こういう場面をうまく書けるってすごいな。
 この人の話は、大げさじゃない場面で、ひとと人はつながって、支え合っているんだな、というか、それが本来なんだな、という気持ちにさせられる気がします。

 西村 賢太「形影相弔・歪んだ忌日」
 おととしからハマっている西村賢太さんです。上の津村さんもそうだけれど、芥川賞作家っていうお堅い感じはまったくしない。西村さんの小説は、あの、文庫本の後ろについている解説なんかを読むと、どんだけ暗い気が滅入る話なんだよ、と思うんだけれど、実際読んでみるともっといきいきとした「負のヒーロー」(酒井順子さんの解説)の話で、読んでいて爆笑する、という人の話もわかる気がします。同棲時代のDVのような話が多いんだけど、よくその短い期間の話がいろいろ出てくるものだと思います。そんで、そのあたりの話が一番面白かったりする。経験者には辛いかもしれませんが・・・。

 伊坂幸太郎「ガソリン生活」
 自動車が主人公、という設定で、しかも厚みもそこそこ。それって面白いのかな。伊坂さんとはいえ読むのを躊躇してしまった。でもさすが伊坂さんで、ものすごく面白い。いろんな小説やら映画やらからの小ネタもはさんで、なんとも楽しい話でした。うちの車は何をしゃべっているのかな。

 松沢呉一「闇の女たち―消えゆく日本人街娼の記録―」
 私が若いころはまだこういう人たちがいたかなあ。街娼へのインタビューと街娼についての歴史のようなものを書いた本。この人の本は下品なとこにまっしぐらに立ち向かった「ぐろぐろ」 なんかで知ったのですが、ここでは時間をかけて街娼に話をきいていて、その生き方に興味をひかれました。何人かの街娼が「楽しかった」 と言っていたのがすごく印象的。この少し前に、評判の高い東野圭吾の「白夜行」 を読んで、まわりを振り回して不幸面してる女性にすっごく気分が悪くなったのですが、本当に太陽の下を歩いていない女性の、強さにちょっと圧倒されました。

 貫井徳郎「乱反射」
 物語の中で子供が死ぬ、ということがあらかじめわかっているのです。そこに向かっていろんな人がかかわっていきます。いろんな人のちょっとした身勝手や利己心が人を殺す。その時どう責任を取って行けるのか。作中に出てくる人たちがいかにもそこいらへんにいそうで、さらには自分も無意識のうちにそういうことに関わっていそうで、恐ろしい、と思うとともに、この国の人たちはいつの間にこんなにわがままで身勝手になってしまったのかなあとも思いました。昨年読んだ本の中で強烈な印象を受けた本のひとつ。
 これを読んだ後に、ツイッターで現実に同じようなやりとりがされているのを見て、ちょっとどっきりしました。
 そのあとこの人の本を何冊か読んで、話はすごく面白いのですが、人の命の失われ方なんかにちょっと耐え難い気がしてあまり手が出ません。

 三浦しをん「神去なあなあ夜話」
 「神去なあなあ日常」 の続きのお話。嫌々ながら和歌山県の山中で林業に携わることになった若者のお話の続きです。こちらは短編集で、前作ほど山の神秘や林業にかかわる面白エピソードとかは無いのですが、魅力的な登場人物がたくさん出てきて、ちょっと恋愛もからんだりなんかして、ほっこりするお話です。前作に引き続きおすすめ。

 篠田節子「ブラックボックス」
 篠田さんはエンタテイメントの作家さんですが、硬質な印象で昔からすごく好きな作家さんです。この話は、スーパーナチュラルな要素は一つも出てこないのですが、読んでいて「これはホラーだ」 と思いました。スティーヴン・キングとかを読んでいる時と同じようなてざわり。
 テーマは食品添加物やバイオ作物を扱っているのです。日々の暮らしの中で、そういうものにあまり神経質になっても仕方がない、きりがない、というふうに考えているのですが、本当に体に害がないかどうかは私たちにはわからない。知らされていないことがたくさんきっとあると思います。今もどこかでこの話のようなことが起きていないとも限らない。物語としてはあくまでもエンタテイメントとしてどきどきしながら読めます。これも多くの人におすすめしたい。

 万城目学「とっぴんぱらりの風太郎」
 「真田丸」 と同じ時期の時代設定なので、あわせてとても面白く読みました。万城目さんの話では今まで人が死んだりしたことはなかったように思うけど、この話は主人公が忍者で、戦国時代の話のせいか、たくさんの人が死んでしまいます。滅びの話で、胸が詰まるような思いがしました。ほんの歴史的にはそれほど昔でもない時期に同じ国の人たちでにくみあい殺し合っていた時期があったのですねえ。

 麻宮ゆり子「敬語で旅する四人の男」
 ひょんなことからそもそもあまりつながりのない四人の男の人があちこち旅することになる連作短編集。それぞれ重い事情を抱えているんだけれども、どことなくユーモアを感じる部分もあって、話の印象としてはあまり重い感じにはなりません。人にはそれぞれ個性や自己主張があって、そういうものがある以上は、一緒に旅をすればぶつかり合うこともありますし、意外なところへの道案内となることもあります。誰かと旅をするおもしろみはそこにあるのかもしれません。そしてもしかすると、それは生きているうえでも同じことなのかもなあ、と、ありきたりな例えだけれど、そういう意味でも人生と旅は似ているのかもしれない。
 発達障害(?)の斎木くんの、活躍ぶりもどことなく楽しい。誰かと旅に出たくなります。そういえば、旅先の描写の本当に何気ないところで、ああいい旅ってこういう感じだなあ、と思ってじわじわきたりもしました。すごくいいお話だと思いました。

津村記久子「とにかくうちに帰ります」
貫井徳郎「乱反射」
篠田節子「ブラックボックス」
麻宮ゆり子「敬語で旅する四人の男」

の4冊が特に印象深かったです。今年も面白い本にめぐりあますよう。

※追記
 書き終わってから気が付いたけど西村さんについては昨年も同じこと書いてた!
 あと、今積んでる本は伊坂さんの「首折り男のための協奏曲」 それから今朝がたから、今年の1冊目として森見登美彦さんの「聖なる怠け者の冒険」 を読み始めています。

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コメント

わけが気になるといえば気になります・・・。

津村さんはなかなか好きな感じです。芥川賞作家さんですが、いまふうの文章って感じがします。合うかどうかわからないのですが、いちどお試しください。

  • 2017/01/31(火) 19:53:07 |
  • URL |
  • のじ #QzKMxyqc
  • [ 編集 ]

遅なりましたが

今年もよろしうにお願いします。
沢山読んだはりますなあ。あたしは今ちょっと訳あってエンタメは読まないようにしています。

津村さんの文章、気になりますねえ。図書館で借りようかな。

  • 2017/01/27(金) 21:35:45 |
  • URL |
  • 嫌好法師 #TqXoMR/I
  • [ 編集 ]

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